教育資金の非課税贈与制度と令和7年最新動向:申告・注意点・節税対策まとめ

こんにちは、税理士の武田です。

 今回は、「教育資金の非課税贈与制度と令和7年最新動向:申告・注意点・節税対策まとめ」を具体例を踏まえて簡単に解説致します。

武田

この記事はこんな人におすすめ!

  • 教育資金の非課税贈与制度の活用を検討している方
  • 近年の改正を確認したい方
  • 制度利用時の注意点について確認したい方

子どもや孫の教育費負担を軽減するために、「教育資金の非課税贈与制度」が用意されています。

この制度を活用すると、祖父母や両親から教育目的で贈与された資金について、一定額まで贈与税がかからずに済みます。

令和7年(2025年)時点でも本制度は延長されて継続中で、近年の税制改正によって見直しも行われています。

高額な教育費がかかる昨今、本制度をうまく使えば子や孫の将来を支援しつつ、自身の相続税対策にもつなげることができます。

本記事では、教育資金贈与の非課税制度の基本ルールから、令和5年度改正による最新動向、申告手続きの方法、誤りやすいポイントや節税対策への活用法まで、詳しく解説します。

まず、教育資金非課税贈与制度を利用できる対象者や非課税となる金額・資金の範囲を整理しましょう。

対象者と非課税となる金額・資金の範囲

確認事項1:贈与者(資金を渡す人)

受贈者の祖父母・父母など直系尊属です。贈与者本人の年齢制限はありません。

確認事項2:受贈者(資金を受け取る人)

教育資金管理契約時点で30歳未満の子・孫等に限られます。また、受贈者の前年の所得が1,000万円を超える場合は本非課税措置を利用できません。

確認事項3:非課税限度額

受贈者一人につき累計1,500万円までが贈与税非課税の上限額です(注:この1,500万円には学校以外への支払い分としての上限500万円を含みます。仮に祖父母など複数の贈与者から贈与を受けても、合計1,500万円を超えた部分には通常通り贈与税が課税されます。

確認事項4:対象となる教育資金

学校等に支払う入学金・授業料・給食費などの教育費(最大1,500万円まで)や、塾や習い事の月謝・留学の渡航費・通学定期代など学校以外に支払う教育費(最大500万円まで)が非課税対象です。ただし両者合わせて1,500万円が上限であり、例えば学校費用に1,200万円使った場合、学校外費用の非課税枠は残り300万円となります。

確認事項5:適用期間

本特例は平成25年4月1日から始まり、令和5年度の改正により令和8年3月31日まで延長されています。この期間内に教育資金管理契約を結び、資金拠出を行った贈与が非課税措置の対象となります。

上記の条件を満たせば、祖父母等の贈与者が受贈者名義の専用口座に教育資金を入金し、所定の申告手続きを行うことで、贈与税が課されません。

非課税で認められる教育資金はあくまで教育目的に限られており、実際に資金を使った際には金融機関に領収書等を提出して証明する必要があります。

国税庁:祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

武田

教育資金非課税制度は、令和6年3月末時点で契約件数:26万8,182件、金額にして約2兆414億円と多くの方に利用されている制度です。

財務省:贈与に関する資料

教育資金贈与の非課税制度は創設以来、適用期限の延長と条件見直しが繰り返されてきました。

直近の令和5年度税制改正では、本制度の適用期限が3年間延長され、令和8年3月31日まで利用可能となっています。

当初は利用件数の減少や「富裕層優遇」との指摘から令和5年での廃止も検討されましたが、政府の政治判断により延長が決まりました。

令和5年度改正では単なる延長に留まらず、制度の適用条件にも重要な変更が加えられています。

ポイント1:

1つめの改正項目

贈与者が死亡した時点で資金が残っている場合の取扱い

改正内容

従来は受贈者が23歳未満(または23歳以上でも在学中等)の場合、贈与者死亡時の未使用残額は相続税の課税対象外とされる例外がありました。

しかし改正により、贈与者の相続財産額が5億円を超える富裕層の場合には、受贈者の年齢や在学状況に関わらず残額が相続財産に算入され課税されます。

また、その受贈者が孫である場合には相続税が2割加算される点にも注意が必要です。

ポイント2:

2つめの改正項目

受贈者が30歳に達した際の課税ルール見直

改正内容

受贈者が30歳になった時点で贈与金が余った場合、余ったお金に贈与税が課税されますが、これまでは特例的な低税率が適用されていました。

しかし令和5年度の改正によってこの特例税率が廃止され、残額に対して一律に通常の贈与税率(一般税率)が適用されることになりました。

つまり、30歳超まで使わず残してしまった場合の税負担が従来より重くなる可能性があります。

以上のように、令和5年度改正では制度が令和7年以降も継続する一方、主に高額資産層に対して課税が強化される内容となっています。

教育資金贈与の特例は令和7年現在も有効ですが、2026年以降の延長は未定であり、今後の税制改正にも注意が必要です。

教育資金非課税の特例を受けるためには、所定の手続きを踏む必要があります。具体的には次のような流れになります。

具体的な手続きの手順

金融機関で専用口座を開設
本制度を取り扱う信託銀行や銀行にて、受贈者(子・孫)名義の教育資金管理専用口座を開設します。口座開設の際に、贈与者と受贈者(代理の親権者)が契約書類に署名します。
非課税申告書の提出
口座開設と同時に、金融機関を通じて税務署宛に「教育資金非課税申告書」を提出します。この申告書には贈与者・受贈者の情報や拠出額等を記載します。申告書の提出先は贈与者の住所地を管轄する税務署で、金融機関が取り次いでくれるため個人で税務署へ行く必要はありません。
資金の拠出(入金)
非課税申告書提出後、贈与者から教育資金専用口座へ資金を振り込みます。贈与は一括でも複数回に分けても構いませんが、非課税申告は拠出のたびに行う必要があります。合計で非課税枠(1,500万円)を超えない範囲で計画的に拠出しましょう。
教育資金の払い出し
受贈者(実際には親が代理)が教育費を支払う段階になったら、専用口座から資金を引き出します。払い出し方法には、支払済みの費用について領収書を提出して払い戻しを受ける方法と、請求書等を提出して金融機関から教育機関等へ直接支払ってもらう方法の2種類があります。
領収書の提出と管理
払い出した資金が本当に教育目的に使われたことを証明するため、支払い後に領収書や契約書等の書類を金融機関へ提出します。領収書の提出期限は、その費用を支払って口座から引き出した年の翌年3月15日です。提出された領収書類は金融機関が保管・管理し、必要に応じて税務署へ報告されます。

以上の手続きを経て、支払いが適正な教育資金と認められれば、その贈与額について受贈者に贈与税は課税されません。なお、制度を利用した贈与については通常の贈与税の申告も不要です(非課税申告書の提出により代替されるため)。

誤りやすいポイント

非課税枠は受贈者ごとに1,500万円まで(複数口座は利用不可)

教育資金非課税の枠は、あくまで受贈者一人あたり累計1,500万円までです。

祖父母2人からそれぞれ1,500万円ずつ贈与を受けても合計3,000万円全てが非課税になるわけではなく、1,500万円を超える部分には通常の贈与税がかかります。

そのため、1人の孫に対して複数の祖父母から贈与を受ける場合も、非課税口座は一本化して管理し、総額が上限を超えないようにしましょう。

30歳までに使い切らないと残額に贈与税が課税

教育資金の贈与を受けた資金には使用期限があります。

受贈者が30歳に達した時点で教育資金管理契約は終了し、そのとき口座に残っている資金には贈与税が課されます。

令和5年改正により、この30歳時の残額に対する課税は一般の贈与税率で行われることになったため、残高が多いほど税負担も大きくなり得ます。

せっかく非課税で贈与しても、使い切らなければ最終的に税金がかかってしまう点に注意しましょう。

計画的に資金を拠出し、30歳になるまでに使い切れる範囲の額を贈与することが大切です。

用途外に使うと非課税対象外に(領収書管理の重要性)

教育資金非課税の恩恵を受けるには、支出した資金が全て教育目的であることが前提です。

仮に贈与されたお金を教育とは無関係な用途(生活費や親の経費など)に流用した場合、その分は非課税扱いされず贈与税の課税対象となってしまいます。

そうした事態を防ぐため、金融機関への領収書提出という管理ルールが設けられています。

領収書類は漏れなく提出期限までに提出し、支出の記録を正確に残しておきましょう。

また、「これが教育資金に当たるか判断が難しい」という場合は、事前に金融機関や税理士に相談することをおすすめします。

贈与者が亡くなった場合の残高にも注意

贈与者(祖父母等)が教育資金贈与後に亡くなった場合も、口座残高の扱いに注意が必要です。

原則として贈与者死亡時に残っていた非課税拠出額は相続財産とみなされ相続税の課税対象となります。

ただし受贈者が贈与者死亡時に23歳未満であるか、23歳以上でも在学中または一定の職業訓練受講中であれば例外的に相続財産に含めなくてもよい仕組みもあります。

令和5年改正で、贈与者の遺産が5億円超のケースではこの例外が適用されず課税されることになった点は既に説明した通りです。高額資産をお持ちの方ほど、このリスクも踏まえて資金拠出額やタイミングを検討しましょう。

教育資金の一括贈与特例は、相続税対策・生前贈与の手段としても有効です。以下に、節税効果を高める活用上のポイントをまとめます。

教育資金贈与の上手な活用法

活用法1:早めのタイミングで贈与する

孫やお子さんが小さいうちに贈与を行えば、30歳までの長い期間で資金を計画的に活用できます。

幼稚園~大学までの学費や関連費用を広くカバーでき、30歳までに使い切れる可能性が高まります。

例えば、0~5歳のうちに贈与すれば、約25年以上の教育期間を通じて非課税枠を活用できる計算です。

活用法2:複数の子・孫に贈与して相続財産を圧縮

対象となる受贈者が複数いれば、その人数分だけ非課税枠を活用できます。

たとえば孫が3人いれば、それぞれに最大1,500万円ずつ、合計4,500万円を非課税で贈与可能です(教育資金の実際の必要額に応じて拠出額を決めましょう)。

結果として、贈与者の相続財産総額を大きく減らすことができ、将来の相続税負担軽減につながります。

活用法3:確実に教育用途に使う計画を立てる

贈与額が大きいほど節税効果も高まりますが、前述の通り使い残しがあると課税されて逆効果になりかねません。

お子さん・お孫さんが進学予定の学校の学費や習い事の費用などを事前に見積もり、無理なく使い切れる範囲の金額を贈与することが大切です。

また、領収書の保管や提出といった手続きも確実に行い、「教育目的で使った証拠」を残すことが最終的な節税成功の鍵となります。

Q1.

教育資金贈与を受けた場合、贈与税の申告は必要ですか?

所定の「教育資金非課税申告書」を金融機関経由で提出していれば、別途で贈与税の申告書を提出する必要はありません。

非課税枠内で正しく手続きを行った贈与については、税務署に申告しなくても非課税が適用されます。

Q2.

教育目的なら何に使ってもよいのですか?パソコン購入なども対象になりますか?

学校の授業やオンライン学習に必要と学校等が認めたものであれば、パソコン購入費も教育資金に含めることができます。

通学定期券代や留学の渡航費なども対象です。ただし、受贈者が23歳に達した後に新たに支払う費用については、職業訓練の受講料など一定の場合を除き非課税の対象にならない制限があります。

いずれにせよ、学費や関連費用以外(例えば生活費や娯楽費)は非課税になりませんので注意してください。

Q3.

贈与した教育資金を使い切らなかったらどうなりますか?

受贈者が30歳に達した時点で契約終了となり、使い切れず残っていた金額には贈与税がかかります

例えば1,500万円贈与して300万円余った場合、その300万円に対して贈与税の申告・納付が必要です。令和5年改正によりこの残額に対する税率は一般の贈与税率となったため、場合によっては20~30%以上の贈与税負担が生じる可能性もあります。

Q4.

万一、贈与者(祖父母など)が亡くなったら贈与資金はどうなりますか?

贈与者の相続発生時に教育資金口座に残額があれば、それは相続財産として扱われます(受贈者が祖父母から相続により取得したものとみなされます)。

受贈者が23歳未満の場合など一定のケースではその残額を相続財産に含めないことも認められていますが、贈与者の遺産額が大きい場合(5億円超)にはその例外が適用されず課税されます。

したがって贈与者が高齢で資産規模が大きいケースでは、非課税枠に頼りすぎず計画的に贈与・消費していくことが重要です。

Q5.

教育資金の一括贈与と通常の年間110万円贈与は併用できますか?

併用自体は可能です。教育資金の用途以外にも資金を渡したい場合、まず本制度で教育資金を非課税贈与し、それ以外の生活費などは年間110万円の基礎控除内で贈与する、といった組み合わせも考えられます。

ただし、110万円枠で贈与する場合は通常通り贈与税の申告が必要になるケース(基礎控除を超える場合)に注意してください。

以上のように、教育資金の非課税贈与制度には多くのルールと留意点があります。

制度を正しく理解しないまま利用すると、後から予期せぬ課税を指摘される恐れもありますので、不明点があれば必ず専門家に相談しましょう。

教育資金の一括贈与非課税制度は、子や孫への支援と税負担軽減を両立できる魅力的な制度です。

しかし、その反面、適用要件や手続きが細かく定められており、使い方を誤ると思わぬ税負担が発生するリスクもあります。

特に近年の法改正で制度内容が変更されていますので、最新のルールを踏まえて計画を立てることが重要です。

本記事で解説したポイントを参考に、制度のメリットを最大限に活かしつつ、デメリットを回避できるよう準備を進めましょう。

大きな金額の贈与や相続対策を検討している場合は、税理士に相談することで、安全かつ効果的なプランを立てることができます。

教育資金贈与の非課税枠を賢く活用して今後の贈与計画などに活かして頂けますと幸いです。

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